《MUMEI》 望んでこんな仲になった訳や無いって分かる。 「そうだな……。」 先輩は観念したようにため息をつくと、 真っ直ぐ、榊原を見据えた。 「榊原、教えて欲しい。 どうしてお前等は突然変わったんだ?」 榊原は下を向いたまま。 何かを考えているようにも見える。 しかし…。 「ククク…あーははっ!! 笑わせてくれるぜ!」 突然腹を抱えて笑い出した。 「ははは……本気でそう言ってんのか?」 だがまた突然、 榊原の表情が変わる。 表情からは怒りしか読み取れない。 「本気でそう言ってんのかって聞いてんだよ!!」 歩みより、先輩の胸倉を掴む。 「なんとか返事しろや!!」 先輩は何も言わない。 何かに耐えているように、 キツく目を閉じている。 耐えている? ……まさか!! 俺の予感は的中した。 「ぐ……。」 先輩は片手で頭を抑えると、 榊原に体を預けてそのまま意識を手放した。 「先輩!!」 だがその時、 「何があっても俺は、 お前を仲間だと思っている。」 そう先輩が榊原に向けて言ったのを、 気が動転した俺には聞こえるはずも無かった。 前へ |次へ |
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