《MUMEI》

望んでこんな仲になった訳や無いって分かる。


「そうだな……。」


先輩は観念したようにため息をつくと、
真っ直ぐ、榊原を見据えた。


「榊原、教えて欲しい。

どうしてお前等は突然変わったんだ?」


榊原は下を向いたまま。


何かを考えているようにも見える。


しかし…。


「ククク…あーははっ!!

笑わせてくれるぜ!」


突然腹を抱えて笑い出した。


「ははは……本気でそう言ってんのか?」


だがまた突然、
榊原の表情が変わる。


表情からは怒りしか読み取れない。


「本気でそう言ってんのかって聞いてんだよ!!」


歩みより、先輩の胸倉を掴む。


「なんとか返事しろや!!」


先輩は何も言わない。


何かに耐えているように、
キツく目を閉じている。


耐えている?


……まさか!!


俺の予感は的中した。


「ぐ……。」


先輩は片手で頭を抑えると、
榊原に体を預けてそのまま意識を手放した。


「先輩!!」


だがその時、


「何があっても俺は、
お前を仲間だと思っている。」


そう先輩が榊原に向けて言ったのを、
気が動転した俺には聞こえるはずも無かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫