《MUMEI》 虚無感〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜 家に帰り着くと、 もう11時を周っていた。 「………。」 無言で玄関から上がった。 ただいま。 その言葉に応える人などいないのだから。 父さんはもう寝ているのか、 家中真っ黒だった。 俺は静かにその場に佇み、 目が慣れるのを待つ。 そしてゆっくりと自室へ足を向けた。 自室に入り、電気をつけると、 力尽きたようにベッドに身を投げる。 動けない。 朝練、クラブ活動、夜練。 身体がもうこれ以上は無理だと、 悲鳴をあげていた。 痛い身体に鞭打ち体を起こし、 足をさする。 大丈夫。 大丈夫だ。 「俺は人間じゃないんだから。」 だったら滝澤颯馬は何者なんだ? 一瞬不安が頭を過ぎる。 人間で無かったら俺は何何だろう。 「特別……。」 そうだ…俺は特別だ。 その結論に至ったところで、 ため息をついた。 前へ |次へ |
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