《MUMEI》
リハビリ生活
普通の生活なら
なんとか、不自由なく出来るようになってた

けど

顔は…


俺、退院して
父さんのマンションに戻ったんだ


父さんは、相変わらず、海外に居る

一人暮らしが始まったんだ

食べ物は、まとめて週1回、宅配してもらえるサービスを頼んだんだ

外に、出たくなかったから

学校は、辞めたんだ


俺、人と接するの

たぶん合ってないんだ


一人がいいんだよ、きっと……


何日かして
父さんから電話が来たんだ
新しい、リハビリの先生が来てくれるんだって


…多少は良くなったけど…
治らないかもね

俺の顔…

……

インターホンが鳴った

先生が来たんだ


アメリカ人の
女性だった


陽気な笑顔で、マリア、と名乗った女性

早速、顔のリハビリをすると言ったんだ


椅子に座らされた俺

マリアさん、手に、手術で使うようなゴム手袋はめたと思ったら

いきなり


俺の口の中に指を!

あ、アゴが…外れる…


力を抜けと言われたけど、ムリ!


コメカミから、アゴまで
何か力任せにいじるんだ


やっと解放されたと思ったら

今度は顔にジェルを塗られたんだ

マッサージされたんだ

これは、気持ち良かった

温かくて、なんか

良い感じ


1時間ぐらいかなぁ?

ちょっと、うとうとしちゃった俺

油断した


また、口の中に手が入って来て

い、痛い


先生が、噛むな!

と言ったんだけど

力、入っちゃうょ…


毎日来ると言って

先生、帰って行ったんだ


ふぁぁ、何か顔が痛い

こんなの毎日やられたら
アゴ、外れちゃうんじゃないのかなぁ?


けど、マッサージ、気持ちよかったなぁ

それに

先生、良い匂いだったなぁ
歳、いくつなんだろ?

綺麗な人だったよなぁ…

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