《MUMEI》
憎しみ
〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜〜・*・〜・*・〜


「………う…。」


「気がつきましたか、先輩!!」


あれから直ぐに救急車で病院に運び込まれた先輩。


俺は先輩と共に病院へいき、
点滴を受けている先輩の傍らにずっといた。


榊原は……来なかった。


救急車のサイレンが聞こえて来るなり、
榊原は我に返り慌てて先輩から身を引いた。


支えの無くなった先輩はそのまま芝生の上に倒れようとする。


その寸前で俺は先輩の体を受け止めた。


何しよるんや!


言返そうとして榊原を見上げる。


目を見張った。


榊原の悲痛な表情に。


先輩を見下ろす榊原は、
一言では言い表せない程の感情が表情として現われていた。


だがだんだんとそれがある一つの感情に変わる。


憎しみ。


その目は明らかに憎しみの感情を宿していた。

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