《MUMEI》

「じゃあな。」


物凄く怖い形相で先輩を睨む。


俺はその場に気を失っている先輩を静かに下ろすと、
立ち上がった。


榊原の胸倉を掴み、
睨み付ける。


「先輩はお前らに何もした覚えは無いっていっとった!

俺はその言葉を信じてる!

お前だって分かっているはずやろ、
先輩の一番近くにいたお前なら!!」


自分でも訳分からない程、
次から次に攻め立てた。


だってそうだろ?


先輩がそんなことするはずない。


「人の夢を潰すような人間やない。」


「どうだかな。」


強い力で腕を外され、
今度は逆に俺の胸倉を掴まれた。


「覚えとけ、ガキ。

この世界ではな、
誰1人信用しちゃいけねぇんだよ。」


氷のような冷たい眼差しが俺の目を射抜く。


「な…にいってるんや?

それじゃあ九条たちは……。」


「信用していないに決まってるだろ?」


片眉を吊り上げてせせら笑う榊原。


違う。


コイツはこんな奴じゃない。


これもきっと演技だ。

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