《MUMEI》
交流会・食事会直前9
八坂 椿視点


「おい」

「…」


この俺を、シカトかよ


「おい、神澤」

「…何」


黒づくめの、いつもよりラフな衣装に着替えながら、やっと神澤は返事をした


人気者の生徒会役員は、毎回イベントで私服


つーか、一種のコスプレを披露している


俺やナルシー、成瀬は結構バリエーションが豊富だが


サービス精神の欠片も無いコイツは、黒以外の衣装を拒否するから、毎回似たような服装になる


そんで毎回ナルシーがうるせーんだよな


「何」


お、珍しく先を促したな


「誠の唇の端」


単語で喋る神澤に、俺も単語で返してみた


「…」

「て、無視かよ!」

「暁先輩…ですか?」

「違う。でも、そう」

「わけわかんねーよ」


歩には即答するとこもそうだけど、神澤の発言はもっとわけわかんねーよ!


ちゃんと日本語喋りやがれ!


ただでさえ、こっちは


暁の作戦通り、足止めされてむかついてんだからな


俺が暁の作戦を知ったのは、負けるってわかってんのに必死に向かってくるから変だとは思って


徹底的に一人ずつボコってたら、最後の一人が俺の強さにびびって喋ったからだった

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