《MUMEI》

ホテルに部屋を取り

父さんと母さん、そして俺
3人で居たんだ


父さんと母さんは、俺の前で話し出したんだ

スイートルームだから、部屋はたくさんあるのに

……

父 「翔太に隠さず話したい お前は、嫌か?」

母 「……いえ…」

「話します…」

……

何でだろ?

何で、俺に聞かせるんだろう?


佐藤って男は

母さんの昔の知り合いなんだって

以前、母さんと同じ職場に居た人なんだって

母さんに、仕事を紹介した人でもあるみたい


昔から、母さんに、思いがあったんだと知ったんだ


今は、妻も子も居るのに

母さんに夢中になってたみたいなんだ


不倫かぁ…


父 「私は、やり直したいと 思ってる」

母 「…」

父 「子供達のためじゃない …」

「老後を二人ど過ごせたら 、…そんな思いで言って るんだ」

母 「……」

「返事は…今は、出来ませ ん…」

父 「…考えておいてくれれ ばいい」

母 「……はい…」


部屋の中が、さらに、重々しい空気になったんだ


母が、俺を見たんだ

母 「怪我したの?」

翔太 「…うん…」

適当に、説明した俺

母さん、ビックリしてた


母 「脳内、出血だなんて… …」

泣きそうな顔になった母さん


父 「私の責任だ…」


翔太 「違うよ、俺の責任だ よ」

「俺ね、何があっても人の せいにしない」

「自分がした事は、全部自 分の責任なんだ」

「…だから」

「二人が再婚するなら、そ れは二人で決めてよ」

「二人の人生なんだからさ …」

「まだまだ、俺、自立まで 、時間がかかるけど…」

「費用は、父さん、面倒見 てくれるって言ったし」

「何より、自分が幸せにな らなきゃ」

「そうじゃなきゃ、生きて る意味ないよ」

母 「…」

父 「…」


翔太 「はっきり、言うね」

「父さん、好き勝手やって 生きて来たんだから」

「親として、金銭的な面倒ぐらい、ちゃんと見てよね 、」

「母さん、女なんだから」

「俺、軽蔑したりしないし 、自分が幸せになる方法 を見付けてよ」

「父さんが、金返せって言 うなら」

「俺が働き出したら返して あげるからさ」

皮肉を込めて言った俺に


父 「そんなセコい事言うか …父を馬鹿にし過ぎだ!」
と、父さんが言ったんだ


翔太 「父さん、母さんが欲 しいなら、しっかり一か ら口説くんだね」

「俺、邪魔しないよ」

そう言ったら

父さんが

父 「わかってる!」

「息子にそんな心配される ほど、私はバカではない !」

翔太 「照れるとスグ怒るね 、父さん」

父さんを冷やかしたんだ


母 「翔太…」

「…明るくなったわねぇ」

母さんが、不思議そうな顔して言ったんだ


翔太 「根暗なままだよ、俺 …」

立ち上がった俺に

父 「…どこへ行くんだ?」
翔太 「帰るよ」

「邪魔しちゃ悪いしさ」

「そうそう、父さんに言う 事あったんだ」

「俺ね、母さんにフェラチ オしてもらったんだ」

「スゲー優しくて気持ちよ かったよ」

「間違った行為だけど」

「俺、感謝してるんだ」

父 「……」

呆然としてる父さんだった

翔太 「後は二人で話してね 、俺、帰るね」

「またね」

手を上げて、明るく言って部屋を出たんだ

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