《MUMEI》

翔太 「…ごめん…」

ターニャのスカートをおろしたんだ

俺の負けです…

…気、強いなぁ…ターニャ…

ターニャ、スカートを押さえながら
泣きだしちゃったんだ

翔太 「…」

まいったなぁ…

今更泣くなょ…


翔太 「…送るよ…」

ターニャ 「ストッキング… …破かれたぁ…」

シクシク泣きながら
ターニャが俺に言ったんだ
翔太 「…タクシーで…」

ターニャ 「パンツ、脱がせ たぁ…」

うわんうわん、泣き出したターニャ


翔太 「……」

どうしよう…

ターニャ、ガクガク震えながら泣いてる


翔太 「…何か、温かいモノ 飲もうよ」

「襲ったり、しないから… …ね…ターニャ…」

ターニャの手を引きリビングへ


珈琲を入れてる間も

ターニャ、ずっと泣いてたんだ

……

会話も無く、珈琲をすする俺達…

目を、合わす事もなかった……

ターニャ、少し落ち着いたのかな

もう、泣き止んだみたいだけど

……

翔太 「…ごめん…」

ターニャ 「…」

完全無視だぁ…

そりゃぁ、悪いのは俺だけどさぁ

ひっぱたいて帰ればいいじゃんか…

……

ターニャ 「…私を、怨んで るの?」

急に、ターニャがそう言い出したんだ

翔太 「誰も、怨んでないよ …」

ターニャ 「何で?」

ターニャが俺を見た

翔太 「…何でって…」


ターニャ 「私が翔太をタク マに仕掛けさせたんだよ ?」

翔太 「…関係無いよ」

「俺が選んだ事だしね…」


ターニャ 「…何で?」

「どうして、私のためにそ んな事まで…したの?」


翔太 「…上手く、話せない よ…」

「ターニャのためだけじゃ ないって言うか…」


ターニャ 「…生きてるの、 嫌だったの?」

翔太 「…死ぬ、勇気も無い んだけどね…」

「無性に暴れたかったのか もね…」

「だから、ターニャが責任 感じたりする事じゃない んだよ」

ターニャ 「…」

「翔太は、誰にでも、優し いんだね…」

翔太 「…そんな事、ないよ …」


ターニャ 「…嫌な思いさせ て、ごめんね…」

「…帰るね」

翔太 「送るよ」

ターニャ 「平気…」

「一人で帰れるよ…」

翔太 「…」

……

帰り際、玄関先でターニャが言ったんだ


ターニャ 「…私だから、翔 太が、タクマに立ち向か ってくれたって…思った の…」

「…翔太、醜くなんかない よ…」

「私は、翔太の顔、好きよ …」


ターニャ、笑顔を作って、そう、言ったんだ

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