《MUMEI》
家族との再会
父さんが帰国したんだ

俺が住むマンションには立ち寄らず

ホテルに部屋を取った父さん


俺、ホテルに呼ばれたんだ
母さんと、姉さんも来るんだって


何年ぶりだれう

4人が揃うのは


久々に見る、姉さんは

凄く大人びて見えた


スイートルームで
4人そろって食事したんだ
俺にビールを進める父さん…

食事をしながら、父さんが話しだしたんだ

父さんと母さん

再婚して、一緒に住むんだって

俺も、姉さんも、黙って聞いてたんだ


父さんと、母さん

昔みたいに、仲良くしてた
父さんにも、母さんにも、笑顔が見えたんだ


父さん、癌なんだって…

ビックリした

明後日、から入院するんだって…

幸い、早期発見みたいだから、生き死ににはならないって言ってたけど…

……

姉さんも、言葉を失ってた

父さんが言い出したんだ

父 「親としては、ダメな親 だったな」

「けど、それでも、お前達 の父親なんだ…」

「出来る限りの事を…」

姉 「いいよ、今更…」

「お父さんも、お母さんも 、自分達の幸せ考えて生 きてよ」


父 「翔太にも、同じ事を言 われたな…」


母 「…綾奈、母さんを怨ん でる?」

姉 「…少しね…」

「けど、今更ね…」

……

何の話しだろう?


姉 「今更、家族には戻れな いけど」

「お母さんとお父さんが幸 せになるのは賛成よ」


母 「…」

姉 「お父さん、早死にした ら、お母さん、一人にな っちゃうからね」

「癌なんかに負けないでよ …」

父 「…わかった」


翔太 「何を、怨んでるだよ ?」

姉さんを見て聞いたんだ

怨む事なんか何も無いだろって、

ちょっとムカついたんだ


姉 「何、感情的になってん のよ…」

翔太 「…怨むのは違くない ?」

姉 「怨むって訳じゃないけ どね…」


母 「私が悪いの…」

「私が、間違ってたのよ… 」

姉 「そんな事ないよ…」

「私が勝手にした事だしね …」

「お母さん、世間知らず過 ぎなのよ…」

「いくら、昔は仕事出来た って言ったって…」

「ブランクもあるし、時代 も違うし…」

「…怨んで無いけど」

「ちょっとね…」


翔太 「…何?…」

「悟ったような事言ってん の…」

姉さんの態度がムカついたんだ


姉 「まぁ、父さんと再婚す るなら、私は安心だけど ね」

「父さん、蟠り、ないんだ よね?」


父 「蟠り?…何をだ?」

姉 「母さん、あの人と寝た んだよ?」

「…大丈夫なの?」


姉さん、言葉に何も被せずに言ったんだ


父 「…私ぐらいの歳になる とな」

「若い頃と違った物が見え てくるんだ…」

「私も、間違いをおかして るしね」

「気にならない事じゃない が、もっと大切な物が見 えるようになるんだ」


姉 「その、言葉が真実なら 、私はそれでいいわ」


母 「綾奈…」


姉 「お母さんが、幸せなら 、それでいいの」

……

その意見には、俺も賛成だった

父さんと母さんの未来に、乾杯したんだ


父さん、手術前だから

深酒はしないって

軽く、飲んだだけだったんだ

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