《MUMEI》

穴を突き進んで行くと、床が人工物だと感触で理解した。

「けほ……」

内館さんは埃っぽさに噎せる。


「……進めない。」

ぼくは頭を打ち付けて一本道が塞がれていることを確認した。


「行き止まり?」

頬に内館さんが接してきて、良い匂いがする。


「どうしよう。」

涙目になると、内館さんは頭を撫でてくれた。




『……にゃー』


「……にーさんだ。」

おかしいな、荷物と共に屋敷に運んだのに。


「兄さん?」


「はい、ぼくの友達です。」

下から鳴き声がして、床に注目すると床板の端から光が漏れていた。


「足元が、取り外せるんだよ。」

内館さんに言われて慌てて後退し、床板をスライドした。


「風が吹いてる!」

床下はパイプの内部のようで、外に続いているに違いない。


「待って……何か来るよ。」

内館さんの握った手により、後ろに耳を傾けた。
呻き声のような重低音がする。
ぼくらはそのまま意識を失っていた。

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