《MUMEI》 「どの位で消えるんですか?」 「消えるんじゃないよ、消しているんだ。大体1年で消せるようになる。それまではフェル世界とこっちの世界の行き来を繰り返さなければならないが。」 「ずっと行きっぱなしじゃないんですね。」 明智は興味深げに見入っていたタトゥから目をそらすと山男を見上げる。 「そりゃ、学校もあるし、理由もなく居なくなったら大騒ぎになってしまうじゃないか。ただ、さっきまでも行ったように時間軸が違うから、学校に通うだけ。こっちの時間で8時間。それ以上は適合魔法の効力が弱まってしまうから。」 「適合魔法?」 「さっきも言ったように、フェル界の理を身体に急激に貯め込んだせいで、身体の成長が驚くようなスピードになっている。 ただ、そのままにしておくと今後の生活にまで影響が出てしまうだろう?だから、身体にフェル界の理を馴染ませて、こっちの世界の理とバランスを取れるようにする魔法を習得する必要があるんだ。それが適合魔法。」 山男はそう言って、いじって丸い石を指指す。 「これが、フェルから得た力が身体に凝縮された証で、この石自体をスレシルと呼ぶこともあるらしい。周りの文様は、この石に力が集まってくる時に出来るみたいだな。おれは石が腕の真ん中なんて中途半端な場所に出来たもんだから、こんなに大きな文様になってしまったが。」 そういって山男は左腕全体の文様をそっと撫でながら明智を見る。 「しっかし、なんで文様出てないんだろうな?ソウに入って声が出せるくらいまでスレシルとしての力を貯め込んでいたら、石が出始めていてもおかしくないんだが…」 前へ |次へ |
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