《MUMEI》 「…着いたな」 声とともに椎名くんの香りが離れる。 「じゃ、」 椎名くんは電車から降りると、そのまま歩いて行ってしまった。 −…あたしは今もドキドキしてる、のに… 椎名くんはきっと、 何とも思ってないんだろうなって思うと、少し切なくなった。 椎名くんの後ろ姿。 茶色の髪に、 スラリと長い手足。 背筋はしゃんと伸びている。 ああ。 好きだなあ。 前へ |次へ |
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