《MUMEI》

ターニャが外出したがらなかったから

家で映画見たりして、過ごしてたんだ

このマンション、テレビ画面から申し込みして
映画見れるんだ


一緒に掃除したり
料理作ったりしてた


ターニャ、段々と元気を取り戻して来たみたいだった

見晴らしの良い、サンルームが有るんだ

ちょっとしたテーブルとか置けるスペースがあって

高層階だから、窓は開かないんだけど

ターニャ、やっぱ洗濯物は干さなくっちゃって

ここに干すんだ


一緒に洗濯物を干してたとき

ターニャ 「新婚生活って、 こんな感じかなぁ?」

と、ターニャが言ったんだ

翔太 「うん、そうかもね」

ターニャ 「…」

ターニャが俺を見てた

翔太 「どしたの?…」

ターニャ 「ううん…」

ターニャ、また、ふさぎ込んじゃったんだ

………

ソファーで膝を抱えてるターニャ

翔太 「はい、アイス珈琲」

ターニャ 「ありがと…」

ターニャの隣に座った俺


ターニャ 「……」

「翔太、ごめん…」

「私、嘘付いてたの」

翔太 「…うん」

ターニャ 「あのね…」

翔太 「いいよ…」

「話したく無い事だって、 あるよ」

「俺、ターニャを、大好き なんだ」

「今、ターニャが、ここに 居て、これからも、側に 居てくれるなら」

「それだけでいいんだ」

ターニャ 「…」

「私も、翔太が好き…」

「ずっと、翔太の側に居た いから…」

「話さなきゃ…」

「……」

ターニャ、そう言って
深呼吸してから

話し出したんだ


ターニャ 「…あの二人に、 写真で脅された後…」

「アイツだけが来たの…」

翔太 「…眼鏡の方?」

ターニャが首を横に振った

ターニャ 「写真も、動画も 処分するからって …」

「もう、二度と関わらない からって…言われて」

「…」

「アイツの前で、下着脱い だの…」

「……」

「どうせ、犯されちゃって るんだし…」

「ずっと、脅されてるより は…って…」

翔太 「そっか…」

ターニャ 「…」

「ちゃんと聞いて!」

翔太 「聞いたら、…」

「……全部、知りたくなっ ちゃう」

「ターニャが何されたか」
「どう…だったのか、とか ……」

「ターニャが話したくない 事まで、聞きたくなっち まうから…」


ターニャ 「…話せ無い事な んて無いよ…」

「翔太になら」

「全部話せる」

「そう、なれなきゃ…」

「前に進めないの!」

「……だから…」

翔太 「……」

「うん…」

ターニャ、前に進むって

なら、俺が我慢すればいいんだ

不愉快な、話しでも


ターニャ 「私、嘘つきなん だ」

「直ぐ、都合良い嘘ついち ゃうの…」

「もう、そんな自分は嫌な の」

「翔太の前では」
「嘘、付きたくないの」

「嫌われるの、…恐いけど …偽っていたくないから」
「……」

ターニャ、そう言って

俺を見たんだ

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