《MUMEI》 曖昧主人公 香河叶恵<かがわかなえ>は昨日、誕生日だったにも関わらず誰からもまだ祝いの言葉の「い」も聞けないまま出勤していた。<ちなみに、22歳の誕生日だった> (まぁ、いい大人になってそんなことも言ってらんないか。) しかし、今日もまた記念すべき日に違いない。 なんたって初出勤の日なのだから。 街はまだ静かで、エメラルドグリーンにほんのりと染まっている。 それに加えいつも暑苦しいのに、この時間帯だけは、涼しい。 だから、叶恵はこの時間が一番好きであり、またこの美しい景色に祝われている気分だった。 「光、起きてる?」 叶恵は、自分の影に向かって話しかけた。 しかし、通常よりかなり濃いその影から返事はなかった。 (やっぱり、か・・・。) この影には、3人分の影がある。 1人は、私。 1人は、私のパートナーで吸血鬼の光。 1人は 狐に魅せられた私。 光は、仕事以外出てこないし未だに口を開いたことがない。 順調に歩を進めると、この都会でも一際高いビル否、塔が目に入ってきた。 塔は、円錐形で下から上に螺旋状になっている。 窓は、螺旋の段差に沿って小さい物が並び、出入口が1つある。 あとは真っ白だ。 私はここで働ける! 前へ |次へ |
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