《MUMEI》 綺麗なモノには蓋をした。 大切な手紙や 頂き物 美しい想い出を 蓋をして仕舞う。 そして、飛び切りの笑顔で尤もらしい嘘をつくのだ。 俺の処方箋だ。 それが、ある日ぷつりと切れた。 天使なんて救いやしない。 救いは無い。 俺の魂を震わせても掻き乱しただけだ。 美しい人は魂も美しい。 俺が傷付けた肩の時よりも、先輩は俺がボロボロで道に倒れていた時の方が傷付いていた。 俺は痛みの権化だ。 俺は人を裏切るのが恐怖であるにも関わらず、繰り返し裏切りたくなる。 両親、兄弟、友人……愛した人。 あゆまは、俺と似ていて怖い。 母親に愛されていると信じたいところもよく似ていた。 幼い俺が、あゆまの純粋さでまた喚き出すことが怖かった。 しかし引っ切り無しに俺に叫ぶそれは、あゆまへの信頼を裏切るだろう。 前へ |次へ |
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