《MUMEI》
アイマイ
中に入るとすでに大勢の人が中にいた。

 主にここで働いてる先輩なのだろうけど、なかには顔見知りの同僚もいた。

そぅっとその同僚に近づいて・・・
「おぅ、叶恵。何やってんの?」
と、気付かれてしまった・・・。

 この同僚は、記紀野嬉々<ききの きき>。
純白の髪をした少年だ。

 2年間の訓練(通称 地獄の道)の間、共に生き抜いた親愛なる宿敵である。

 嬉々は成績トップの実績を持つが、叶恵はぎりぎり2年間で卒業できる実績であった。

「なになに?俺をあざむけるとでも?」

「くっ・・・・。」

「叶恵よ。次は、戦闘中に来るとよい。その時は、私がこいつを押さえておこう。」

「なっ・・・まさかこんな近くに天敵がいたとは・・・!!」

この人は、嬉々のパートナーの菜々さんだ。

もちろん、菜々さんも人ではない。

 菜々さんの姿は怪我人のように包帯でぐるぐる巻きにされていた。

しかし、これは怪我ではなく性質だ。

菜々さんは包帯人間だ。

光が吸血鬼少女のように、菜々さんも異形の者なのだ。

「そうですね。次は必ず仕留めてみせます。」

「おいおいおい!!まずは、オーダだろうが!!」

「うむ。期待しているぞ。」

「おいぃぃぃぃ!!お前らは一体何を企んでいるんだ!?」

 そんなあいさつを交わし終わったちょうどその時、図太い男の声が上がった。

「集合ーーーー!!!」

 巨大な翼の生えた像、《マリア像》の前に叶恵達も含めた総勢48名の新人クラージマンが集められた。

中には一見ベテランそうな人もいる。

きっと留年し続けたのだろう。
かなり貫禄がある。

「えぇ、今日からお前らDランクの安全責任者の弐位宮だ。」

 叶恵達の前に立ったその体格のいい男弐位宮《にいみや》は、底の知れないような大声で自己紹介をしたのであった。

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