《MUMEI》 . わたしは【シュン】に手を引かれ、女の子たちにもみくちゃにされて死にそうな顔をしている【ユーゴ】のもとへ向かった。 「楽しんでる〜??」 【シュン】が呑気な声で呼び掛けると、【ユーゴ】がげっそりと振り返った。 「【シュン】…」 呻くように名前を呟いた【ユーゴ】を見て、【シュン】は楽しげに笑う。 「なんつー顔してんのー?」 お腹を抱えてゲラゲラ笑うメンバーに、【ユーゴ】は気を悪くしたのか、ムスッと仏頂面になって黙り込んだ。 突然現れた【シュン】に、女の子たちは、パッと顔を輝かせる。 「【シュン】さーん!!」 「お久しぶりですぅ!」 「一緒に写真撮りましょ!」 彼女たちは、わー!!と勢いよく【シュン】を取り囲み、その反動で、わたしと【ユーゴ】はあっという間に、その輪から弾き出されてしまう。 ………なに!この子たち!! ものすごいアグレッシブ! ついていけない…と、しばし呆然としていると、【シュン】は女の子たちにほほ笑みかけ、言った。 「ゴメンねー、これから【レン】に付き添って挨拶周りしなきゃなんないんだ」 また後で話そうよ、と断り、彼はわたしの腕を掴んで強引に引っ張った。なし崩し的にわたしは【シュン】の後をついていく形になる。それに紛れて【ユーゴ】もわたし達についてきた。 【シュン】のつれない態度に女の子達は一斉にブーイングする。その不満が何故かわたしに向けられているような気がして、なんだかゾッとした。 . 前へ |
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