《MUMEI》
「首狩」
リザードマンが顔を歪めた。恐らく笑ったのだろう。そう、余分な事を考えたのが油断だったのだろうか・・
気が付いたときには目の前にリザードマンが居て、抱えているリースへと拳が振るわれていた。
リザードマンの拳が深々と強引に体を捻ってリースを庇った彩詩を捕らえていた。
鎧が凹み、骨が軋む。
反射的な動作で、リザードマンに体当たりし、距離を離すとリースを横に寝かせ、剣を構える。
「く・・・」
剣と爪が交差する。
倒れこみそうになる体を押し留め、リザードマンと対峙する。
キシキシキシ・・
彩詩を見ながら、声を上げるリザードマン。
リザードマンが襲い掛かってくる。爪を剣で防ぎ、盾で弾く。
ジリジリと後退するしかなく、傷は加速度的に増えていく。
「バンプさえ・・戻って来てくれれば・・」
攻撃を受け流しながら、必死に意識を留める。
キィン!
受け流した剣が弾き飛ばされ、地面に転がる。
即座に夜霧を抜き放つが・・遅かった。
「あ・・・ぐ・・」
ゴキリ・・ミチャ・・
左肩に深々と噛み付かれた、鎧を貫通、血が溢れ出す。
骨の砕ける音が響き、左腕から力が抜けていく。
ブチブチブチ・・
顎が閉じ、左肩の肉が喰いちぎられた。
抜き放った夜霧を突きたてようと右腕を動かすが、ソレさえも手首を握られ、攻撃することはできなかった。
ミシ・・
右手首が嫌な音を立て始める。
魔力を右腕に籠め、無詠唱で自身の腕に魔法を放つ。
腕が破裂し、掴んでいたリザードマンの腕にもダメージを与える。
彩詩を突き飛ばし、リザードマンが大きく下がる。

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