《MUMEI》
起死回生
スコアは5対2。



ニヤッ…



(ようやくエンジンかかって来たか…)



コート中央。


パスカットを決められたにも関わらず、


桜井は不適に笑みをこぼした。



バンッ!!



「いっ…た…」



その桜井を叩く二ノ宮。



「やられてんじゃね〜よ。」



「…おめ〜に言われたかね〜わ。」



「あん?」



「本気でやらない和也なんか眼中にね〜の。」



パシッ…



奥本からボールを受け取る阿久津。



「ピッ!!」



審判の笛が鳴る。



「返してくぞ〜ッ!!」



中央ラインを跨ぐ聖龍。



チラッ…



瞬時に状況を確認する桜井。



(…)



ヒュッ…!!



桜井はボールを二ノ宮へ。



キュキュッ!!



1対1を仕掛ける二ノ宮。



ヒュッ…!!



そしてパス。



「ちっ…」



ボールは左サイド井川へ。



キュキュッ…!!



同様に井川も仕掛ける。


が、


突破はせずボールを戻す。













……………













観客席。



ザワ…


「大地さん。」


ザワ…


「あ?」


ザワ…


「聖龍のエースおかしくないすか?」


ザワ…


「…だな。」


ザワ…


「仕掛けてはいるものの、


イマイチ迫力がないというか…


なんだろ?


練習でサイドプレイヤーが上やった時なんかにあんな感じになるけど…」


ザワ…


「正解だろーな。」


ザワ…


「え?」


ザワ…


「パス回しに徹底してんだろ。


意図はわかんね〜けど。


さっきの試合でもそんな素振りが見えた。」


ザワ…


(なに…狙ってんだ…?)

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