《MUMEI》

海南ベンチ。



ボソッ…



「12分か…」



海南監督が呟く。



(出番来い…出番来い…)



「いい感じの流れになりつつあったんすけどね…


さすが聖龍。


安定感がハンパない。」



「だな。」



「先輩も監督も相手褒めてる場合じゃないでしょ!!」



「落ち着け。


4点差はまだ極地じゃない。


前半終了までに1点でも縮めれりゃ勝機は十分ある。」



「んな流暢なこと言ってる場合じゃないでしょ!!」



「向こうのスピード展開に付いて行けりゃあな…」



「だったら!!」



「めんどいけど…


真っ向勝負で行くか。


スピード勝負。


受けて立つぞ。」



「だからぁ!!
その為には俺を…!!」



「久志。出番だ。」



「何でそうなるんすかぁッ!!


ん…え…あ…


いいのか…


え!?出番!?」



「だからそうだって。」



「き…来たぁッ!!」



「遠慮はいらね〜。


乗りかけてる波になんとしても乗りたい。


お前に求めんのは向こうに負けないスピード展開のゲームメイク。


そして得点だ。」



「うっす!!」



「頼んだぞ。」



前半約12分。



「先輩交代っす!!」



古賀久志。


コートへ。

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