《MUMEI》
それでも家族
父さんから連絡があったんだ

顔を出せと

俺、実家にまったく寄り付いてなかったから…


父さん、母さんをアメリカに連れて行くんだって

俺も、姉さんも、もう、手が掛からないからだってさ

姉さんは、お見合い相手と順調な交際をしてるらしい

以前なら、そんな話しを聞いたら
心が締め付けられたかもしれないけど

普通に聞けたんだ

ターニャのおかげだよね

姉さんも、幸せなら、それでいいんだ…


俺、ターニャを連れて、
新しい実家に遊びに行く事にしたんだ

まだ一度もいった事ない
父さんと母さんが暮らす家

ターニャ 「どうしよう?」
「気に入られなかったら」
「翔太、私の事話したの? 、外人だって…」

「あっ、服…もっとちゃん とした服買わなきゃ」

「何か、手土産も…」

翔太 「ターニャ、…」
「今から慌てても…」

ターニャ 「だってぇ」

翔太 「俺、ターニャのお母 さんと会ったじゃん」

「しかも、いきなりだょ」

ターニャ 「そうだけどぉ… 」

ターニャ、かなり緊張してるみたいだった

当日、大丈夫かなぁ?

……

ターニャ、アミさんと買い物に出掛けたんだ

洋服を買いに

清楚な感じのスーツを買って来たんだ


タクマさんが、ムクレてたんだって

他所の店で、服、買ったからだってさ


そんなこんなで
ターニャを連れ、実家に向かったんだ


助手席で、緊張してるターニャ

俺、信号待ちのとき
そっとターニャの手を握ったんだ

ターニャ、笑顔を見せたんだけど…

手が、汗ばんでた

翔太 「大丈夫、何も心配な いよ」

「普段通りのターニャで良 いんだよ」

ターニャ 「うん…」

笑顔がぎこちない、ターニャだったんだ


車のナビが、目的地付近だと告げたんだ

翔太 「ここかな?」

俺、車の中から電話したんだ

父さんが電話に出て
ガレージのシャッターが自動で開いたんだ


翔太 「スゲー … 車3台は 止めれるよなぁ…」

ターニャ 「緊張するぅ…」

翔太 「ターニャ」

ターニャ 「ん!……もぅ」

俺、車をバックさせるとき、助手席のシートに手を掛けて
ターニャにキスしたんだ

翔太 「緊張とけた?」

ターニャ 「もっと緊張しち ゃったじゃんかぁ!」

ありゃ…

逆効果だったみたぃ…

……

ターニャを紹介した後
みんなで食事したんだ

母さんの手料理、久しぶりだった

ターニャも、だいぶ打ち解けたみたいだったんだ

父さん、昼間っから、お酒飲み出したんだ

珍しいな

母さんが、食事の後片付けをしだすと

ターニャが手伝いだしたんだ

……

父 「いやぁ、ビックリした …ベッピンさんだなぁ…」
「気立ても良いし」

「いい娘、見付けたな、翔 太」

翔太 「まぁね」

父 「あちらの御両親には挨 拶したのか?」

翔太 「お母さんだけ…」

父 「そうか…」
「一緒に生活してるなら、 キチンと挨拶しに行かな きゃダメだろ」

翔太 「そうなんだけどね… 」

父 「まぁ、しっかりやれ」

「キチンとしとかないと、 後々会いにくくなるぞ」

「父親なんてなぁ、どんな 男連れて来ても、気に入 らんもんだ…」

翔太 「姉さんに、見合いさ せたの父さんだろ?」

「その男は、気に入ったの ?」

父 「…まぁ、まぁ、かな」

父さん、複雑な顔をしたんだ

父 「将来の話しはしてるの か?」

翔太 「うん、お互い大学出 て、就職してからね」

「気持ちが変わらなかった ら、そう、なれるといい ねって」

「まだ、始まったばかりだ しね」

父 「…なるほどな」

父さんがニヤっとしたんだ
翔太 「?…」

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