《MUMEI》 迷子の狼「・・・。」 叶恵は森の中、迷子になっていた。 「のぉおおぉおぉ!?」 祝 迷子350回記念・・・ 光も呆れたのか、はたまたただどうでもいいのか反応ゼロだ。 叶恵は、頭を抱えてうずくまった。 「あぁぁぁぁ・・」 大体、方向音痴のくせに何故にこんな仕事を受けたのか。 そもそもの始まりは、同僚の噂を聞いたからだ。 受付には探索の仕事しかなかった。 最初は、狭い範囲で迷いにくい場所にしようと考えていた。 しかし、そのとき思わぬ朗報が入った。 この中で一番難易度の高い仕事でオーダの情報をうまく集めると、ランクが上にあがる可能性があるというのだ。 卒業できたのも奇跡の叶恵には、かなり魅力的な話である。 少なくとも、しばらくは首はつながっているだろう。 そして現在一人迷子である。 不意に叶恵は、自分の得物を取り出した。 <アリアの羽> 現役時代の母が使っていたもので、卒業祝いにもらった物だ。 Aランクのトップだった母の得物は、一般的な透明の武器ではなくすべて真紅の大剣で形は、十字架そのもので叶恵の身長より大きい。 だが、母の得物の最大の特別は素材だ。 前へ |次へ |
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