《MUMEI》

衝撃波が襲ってきた時に、咄嗟に魔法を使った。自分と明智の着地点になるだろう所にクッションの換わりになるものを出した。

つもりだった。

その魔法は不発に終わり、そのクッションに落ちることを想定していた身体は、受け身を取ることなく地面に叩き付けられた。


…使いすぎたか。


痛みに意識を遮られながらも、魔法が不発に終わった原因を探る。


どう考えても、パワー切れだ。簡単な魔法ばかりとは言え、油断して力の残量計算が狂った。今日は一体いくつの魔法を使った?最近使ってなかったし、補充もしばらくしていない。




山男は、魔法を出そうと空中で体勢を傾けていたせいで右肩から落ちていた。肩の痛みは尋常じゃなかったが、お陰でそれ以外の部分は比較的痛みは軽い。

スレシルとして魔法を使えるものの、山男は6年前、修練した適合魔法のおかげで崩れた理のバランスを取り戻し、サプリから力の吸収はほとんど行うことが出来なくなっていた。

つまり、魔法を使えば使っただけ力は減っていき、いずれ無くなる。自分の中からはそういった特別な力は発生してくることはとうとう無いまま、6年が経っていた。

しかし、山男がスレシルで得た力を尚使い続けられる方法が一つだけあった。それにより、6年前ほどとは言わないが、多少は力を貯めておいて、こっそり使う。という生活を続けている。

「みーーっけ♪」

「!!?」

突然の声に、肩の事を忘れて起きあがる。声に聞き覚えがあった。

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