《MUMEI》

「あ〜っ!!」
「何やってんだよ〜」

思いっきりブランコをこいでいたら、かなたの履いていたおもちゃみたいな靴がポーンと弧を描いて飛んでいってしまった。

「ねぇ武とってきて〜歩けないよ〜ι」
「ったく…」

拾ってきてやる手間賃としてかなたの柔らかな唇にキスをすると、靴の飛んでいった方向に目を向けた。

「あれ…」
「かなたさん…コレ///」

目の前にはかなたの靴…を履いた梅子ちゃんが立っていた。

「サイズ一緒なんですね、履いてみちゃった///」
「わぁっ♪そうなんだ、じゃ俺そっちの靴履く♪」
「えっ///」

梅子ちゃんはちょっと戸惑いながら自分の履いていた可愛い靴をかなたの前まで持ってくると、かなたに履かせてやっていた。

「可愛い〜♪」

爪先に白っぽい花の飾りが付いた、先の丸まったまるでバレエシューズのような形の茶色の靴。

かなたじゃ普段こんなの選ばないだろうな…というくらい清楚な靴だった。

「お前の派手な服には似合ってねぇぞ」
「い、いいの!」

後から歩いてきたはるかにそう言われ慌ててバタバタしながらかなたはブランコから立ち上がると、くるりと梅子ちゃんの周りを廻っていた。

「おい、何してんだかなた…」
「え、いいこと思いついたから♪」

そう言うとかなたは梅子ちゃんの手を握って両腕を広げさせると、ギュッと梅子ちゃんに抱きついた。

「きゃっ///」
「なッ///何してんだよ!!」
「おっぱい柔らか〜い♪」
「あぁッ…ダメです///」

梅子ちゃんの胸に顔を思いっきり顔を埋めると、ムギューっと抱き寄せていた。

…男ならこんな大きい胸見たらハイテンションになるのは当たり前かな。

あれ…こいつ、男だったっけ…。

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