《MUMEI》
笹木希
 転入日…

 ◎崎中学校―――2年4組【教室】

「笹木です……よろしくお願いします」

 無事に転入の挨拶を終えた。……つもりが…

「…は?…アンタ何で自己紹介で名字だけねって!名前も言わんね!」
 当日初対面の担任は、笑いながら俺の頭を軽く叩いた。

 カチンとくる暇も無く教室全体から笑いが起こる。

 不思議だった。意識的に威圧的態度をとっていたハズの俺が、屈辱を感じずにその場にいられたのは今でも疑問だ。

 一つ分かっているのは、とんでもなく優しい学校だったこと。
 比較的、真面目で学生活に熱心な生徒が多かったにも関わらず、明らかに浮いている俺に対する態度にも、嫌味などを一切感じることは無かった。
 とても自然体で、温かい学校だというのは当時の俺にも一瞬で伝わった。

 あの学校で、俺と関わってくれた人達に、今なら心から感謝出来る。


 しかし、当時の俺にとって、あの学校は――――

 嫌味なほど、温かすぎたんだとも思う…

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