《MUMEI》 友達「うっ・・。」 「あっ!叶恵!!」 気がつくと叶恵の目の前には、人懐っこそうに尻尾を振る大きな頭の狼がいた。 まだ視界ははっきりしないが、頭に直接言いかけるのは紀羅に他ならない。 「叶恵!!大丈夫?」 栢の声と足音が近づいてくる。 だんだん、視界がはっきりしてきた。 (洞窟?) 外は大雨が降っていた。 「叶恵?」 栢が眉根を寄せる。 「あ・・うっうん!もう平気だよ。」 「よかったぁ。」 紀羅が頭の中で安心した声を漏らす。 「いきなり倒れたんだから、心配したよ。」 「あはは。ゴメン。 なんか頭ん中で熱暴走したみたい。色々考えちゃって。」 不審なオーダの行動。 普通じゃあり得ない。 あってはいけない。 「ねぇ。」 栢が、紀羅が叶恵に視線を向ける。 「ここは、あなた達しかいないの?」 「え・・・?」 「いるっちゃいるけど・・・。もっと奥に行ったところの小屋におじいちゃんが一人。」 「そう。・・・オーダ・・・あの怪鳥はここによく現れる?」 前へ |次へ |
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