《MUMEI》
消えた日
その日は、穏やかに晴れた冬の日だった。
一月にしては寒さもなく、暖かかくて。
最近沈みがちだった私も、ちょっとご機嫌で。
もちろん、気候のせいばかりじゃない。
久しぶりに彼に会えることになっていたから。
おしゃれをして、待ち合わせの場所にむかった。
彼が、壁によりかかりながら真剣に本を読んでいるのが見えた。
「すぅ!」
顔をあげた彼に手を振った。
次の瞬間、私の体は宙に浮いた。
真っ暗になった。
その日、私は死んだ。
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