《MUMEI》 わたしが何か言おうと口を開いた時。 「キムロっ! 彼女に何をしているっ!」 険しいコムラの声。 それと同時に手が離された。 コムラがわたしとキムロの間に割って入ったからだ。 「彼女には近付くなと言っただろう?」 「こんな所に一人にしておくほうが危険だろう? 俺は他の奴等が彼女にちょっかいかけないよう、見張っていただけだ」 キムロは笑みを崩さず、立ち上がった。 「今度からコムラに迎えに来てもらうといい。ここにいるのは俺やコムラ、それにミトリだけとは限らないからな」 「ミトリ?」 聞いたことのない名前に首を傾げると、キムロは顎で上を差した。 上には、先程の少女がわずかに険しい顔をして立っていた。 「俺達三人ならば、キミに危害は加えない。他の奴等はどうだか知らないけどね」 「黙れっ! キムロっ!」 「やれやれ…」 肩を竦めるも、キムロは大して気にしていないようだった。 わたしは立ち上がり、服のゴミを払った。 「コムラ、わたし帰るね」 「えっ。…あっ、ゴメン。りん、ほっといたワケじゃ…」 「うん。ちょっとタイミング悪かったみたいだから、今日は出直すわ。スイカ、良かったらキムロも食べてね。美味しいから」 「それはどうも」 前へ |次へ |
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