《MUMEI》

「見つけたスレシルに目の前で最終魔法発動された時は己の不運を呪ったものだ。お前ともう一人、ヨシだったな。
あの時はどーも。お陰で数ヶ月動けない身体にされるわ、おれの経歴に失敗の文字が付くわ。最悪だったよ。」

「な、俺たちだって、最終魔法なんかあの時まで使ったことなかったんだ。結果なんか知るか。それに!あの時、お前に向かって最終魔法使ったせいで、力が残すはめになってしまったんじゃないか!」

あからさまな怒りを持って山男に食ってかかり始めたジェイオルに、負けじと山男も声を荒らげる。

ジェイオルの目線から外れた事で、少しだけ緊張が解けた明智はふと、少し離れた所に何かを見つけた。

距離があり、また小さいので良く見えなかったので、奇跡的に落ちることも壊れることなく胸ポケットに入ったままになっていたメガネをかけて、見つけたそれを観察した。

それは、小さな種と、そこから萌え出たばかりの芽だった。

「なんで、こんな所で発芽した種が?」

明智の言葉に気付いた2人が明智の方を見ると、ジェイオルが鼻で笑う。

「力が残ったといっても、この程度か。底が知れてるな。まぁ、俺にはお前ら2人の力が見えるから、分かっていたことだが?」

くそ。小さく悪態をついた山男は、手をついていた地面にツメを立てる。

2人の様子から、この小さな種と山男に何かしらの関係、恐らく、この種の発生源は山男なのだろう。と推測立ててから、もう一度芽吹いた種に視線を送る。

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