《MUMEI》 なぜ、山男はこんな小さな種をこの場に発生させたのか。 この種で、おそらく目の前のジェイオルという水色の男に対して、何かをしようとしたのだろう。 しかし、どうやらその際に発した魔法は不発に終わり、この場に小さな種が一つ残されたままになっている。 考えても埒が明かない。分からない事が多すぎて、理解が追いつかない。一つずつだ、一つずつ整理しろ… メガネを掛けると自然と勉強モードに頭が切り替わる癖がある明智は、メガネを掛けて以来延々とこれまでの山男からの会話を反芻していた。 「力が見える?」 一瞬の間の後、明智が、ジェイオルの発した言葉を繰り返す。 ジェイオルはニヤリと口の橋を上げて笑って言った。 「そう。おれの能力はなんと言っても探(サーチ)型の基本網羅。誰でも使える間(スペース)型と違って、探(サーチ)は極めて珍しい。 その探(サーチ)型に特殊な技をつかうこと無く、基本技を網羅して使えるのなんか、世界広しといえど俺だけだからな。」 「基本網羅??」 「ふ、まぁ、これがどんなに凄いことか、なんてまだ分からんだろうがな。」 前へ |次へ |
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