《MUMEI》 次の日わたしはヨウカンの詰め合わせを持って、山に向かっていた。 山に入る所で、コムラが待っていてくれた。 「コムラ!」 「りん、来てくれたんだ」 「うん、モチロン。ヨウカン、楽しみにしててくれた?」 「ヨウカンもそうだけど…ボクはりんが来てくれるのが、一番の楽しみ」 そう言ってくれたコムラの顔は、少し赤かった。 「ふふっ。ありがと」 「あっ、荷物持つよ」 「うん」 わたしは紙袋をコムラに渡した。 「今日はミトリとキムロ、来てるの?」 「ああ。二人とも、ヨウカンに眼を輝かせているよ」 ウンザリ顔で言ったコムラを見て、わたしは笑った。 「あはは。…他の人は来ていない?」 「うんまあ…とりあえずは」 「…呼んでも良いよ? 昼間なら、そう悪さもできないんじゃない?」 「それはそうだけど…。でもめんどくさい性格のヤツもいるからさ」 「ふふっ。あっ、ねぇコムラ」 「何?」 「…あなた達って甘党なの?」 「えっ?」 「これからの差し入れ、野菜とかお花とかいろいろあるから。甘いもの好きなら、それだけにするし」 前へ |次へ |
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