《MUMEI》

一応湖の主に許しを貰ったので、わたし達三人は湖の周りを散歩することにした。

「キレイな所ね」

湖の周りには木が囲むように生えていて、とても涼しい。

「ミオも大人しくなったしね」

「ねぇ、ミトリ。ミオってそんなに怖いの?」

「怖いって言うか…」

ミトリとコムラは互いに顔を見合わせた。

「昔、ミオはお供え物を持たずにここへ来た人間は、湖で溺れさせていたんだよ」

「えっ!?」

コムラの口から、とんでもない言葉が飛び出た。

「まあ罰の一つだったんでしょうけど…今思うと、性格悪いやり方よね」

ミトリはしみじみと言った。

「だからりんには水羊羹を持ってくるように言ったんだよ。ミオの大好物だから」

「そっそう…」

この湖で、ねぇ…。

わたしは湖に視線を向けた。

静かでキレイ。祖母が言った通り、ここで昼寝をしたら、気持ち良さそうだ。

「ねぇ、せっかくだし、ここでお昼寝しない?」

グッドタイミングでミトリが言い出した。

「せっかく来たのに昼寝?」

「あらだって、りんはそれが目的で来たかったんでしょ?」

「うっ…」

ミトリは変なところで記憶力が良い。

「りんがしたいなら良いよ」

コムラは笑顔で言ってくれた。

「…じゃ、しましょうか。お昼寝」

そうしてわたし達三人は、木陰で昼寝をすることにした。

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