《MUMEI》 覚悟…ふと目が覚めた。 陽が結構高くなっていた。 両隣で眠る二人は、まだ起きる様子がない。 ノドの渇きを感じて、わたしは起き上がった。 二人から少し離れて、湖を覗き込む。 「…飲めるかな?」 「飲めるぞ」 「ひゃあっ!」 湖の中から、ミオが顔を出した。 「おっおどかさないでよ、ミオ」 「スマンスマン。…ちょっとお前さんに聞きたいことがあってのぉ」 そう言うと、わたしに近寄ってきた。 「お前さん、私等の正体を知っておるな。なのに何故あえて近付く? それがどんなに酷なことか、分かっておるのか?」 …言われたか。 わたしは苦笑して、草原に座った。 「…分かってる。わたしは人間だし、いつかはみんなより先に歳をとって消えゆく存在。だけど今この時は今しかないから」 今を後悔したくない―。その気持ちはコムラも同じだと、思いたい。 「…難儀なことよの。お前さんの優しさが我等を縛り付け、苦しめる。だがその分、幸福もあるのだな」 ミオは視線を下に向ける。 …きっと彼女は彼女なりに、いろいろあったのだろう。 だから忠告とも言える助言をしてくれる。 「…ありがとね、ミオ」 前へ |次へ |
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