《MUMEI》

少なくとも、中学生の頃には恋愛感情になっていたと思う。

じゃなきゃ、キスしてこないはずだし。

改めて聞くと、由月の顔がカッと赤く染まった。

「…えっ?」

この反応はもしかしなくても…。

「由月も…一目惚れしてくれた、とか?」

「なっ…!」

ああ、この反応は本物だ。

由月もあの日、あの時、僕を好きになってくれたのか。

好意を寄せられていると感じていたことは、どうやら自惚れではなかったと、一安心。

でもお互い15年間も同じ人を好きでい続けたなんて、スゴイことだと改めて思う。

「〜〜〜っ! …雅貴がマヌケにもすっこけなきゃよかったのに…」

うっ! たっ確かにはじめて出会った時、僕は転んでしまったけど…。

まさかアレで一目惚れされたのか?

「何か頼り無さそうだと思ってたら、実際そうだし…。オレが守らなきゃと思ったのが間違いだった」

そう言うも、僕を抱き締める腕の力は強くなるばかり。

「ははっ。僕は由月の美しさに一目惚れしたよ。こんなキレイな子の側にいたいって、強く思ったんだ」

「雅貴…」

「愛しているよ、由月」

僕も強く由月を抱き締める。

「もう絶対離れないから…」

「ああ、側にいろよ。オレの側に、ずっと…」

絡まりあう視線。

引き合うように、合わせた唇。

これからもいろんなことが、たくさんあるだろう。

けれど由月が側にいてくれるなら、2人ずっと一緒なら、何だって楽しめる気がする。

あの夏、はじめて由月と会ってから、願っていた。

ずっとこの夏が続けばいいのに…と。

2人でいられる時が、永遠であれば良いのにと。

その願いは叶えられ、そしてこれからも続く。

2人の永久の夏は、まだまだ長い。

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