《MUMEI》 邂逅天井を突き破って現れた異形は、頭に二本の角と、手足の無い長い体に堅固な鱗、蝙蝠型の翼、鋭い牙を持っていた。 「竜、じゃねえな、カテゴリーBワイアームか!」 ―またカテゴリーBかよ!人のことナメやがって!! 歯噛みしながら攻撃の準備をする瀧を尻目に一度だけ威嚇するようにかっ、と口を開けただけで、ワイアームは再び壁を突き破りビルの外へ出た。 「何だ!?」 訳もわからず、ワイアームの開けた穴から外を見る。 そして、その先に視線を巡らせたとき、瀧は硬直した。 ビルから10数メートルの場所を飛翔する黒い影、 大鴉の背から自分を悠然と見下ろす男、 「黒、烏…。」 「おぉ、久しぶりやなぁ、瀧。強なったやん♪」 ――キンッ―― 風に煽られたペンダントが鎖と共に奏でる音が二つ、空に響いた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |