《MUMEI》

変わっていなかった、何一つ。


人を食った様な笑い方も、軽そうな言動も…。

何よりその外見、五年前の紅い記憶から寸分違わぬ容姿。

SCが強大であればあるほど、《保持者》は年を取るのが遅くなり、人間としての最盛期の体を維持できる。


「てめぇ!よくものこのこと顔出せたもんだな!!」


自らを奮い起たせるように怒号をあげた瀧の体が黄金の炎を纏い輝く。


「あららぁ〜そないにいきなりやる気にならんでもええやろうにぃ。」


顔には笑みをたたえたまま、黒烏はわざとらしく肩を竦めた。


「綾乃ちゃん、やっけ?かわいいなぁあの子。」

にぃ、と笑いながら告げる黒烏に、


「何かしたんじゃねぇだろうな!!」


焦りと苛立ちも顕に、瀧は叫ぶ。
それと同時に放たれた無数の焔の刃が黒烏に向かっていく。

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