《MUMEI》 山の神々人の…いや、神々の間を歩いていく。 お面を見ると、誰がどの神様だか分かる。 馬・兎・犬・猫…さまざまな神様が集っている。 コムラは狐の神様。 人を騙すと言われている狐の化身。 ならわたしは…騙されているのだろうか? 彼の優しさに…。 それでもわたしは決めたのだ。 「りん!」 ミトリの声で、意識が現実に戻った。 鳥の面を着けているミトリと、もう一人…。 「…キムロ?」 「うん、コンバンワ、りん。可愛い浴衣姿だね」 キムロは…狸の面を着けていた。 「…どーりでキムロは食えないワケだわ」 「それはどうも。何せ狸だからね。化かすのは得意なんだ」 茶色の浴衣を着たキムロと、萌黄色の浴衣を着たミトリ。 「二人とも、浴衣姿がピッタリね。やっぱり和の神様だからかしら?」 「ふふっ、アリガト。りんも可愛いわよ」 ミトリが手をつないできたので、両手はふさがってしまったけれど…二人の手を、離す気は無い。 「一応一回りしてみたけれど、…やっぱりちょっと危険なヤツも参加しているわ。気をつけてね、りん」 「分かってる」 …けれど、もう、止められなかった。 「あっ、ミオだ」 前へ |次へ |
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