《MUMEI》 「コムラもか。珍しいな。お前達、三人がそろうなどと」 「たまには良いかと思いまして」 キムロが肩を竦めて見せる。 「―そなたは?」 主の視線がわたしに向いた。 「あっ、この子はりんと言います。ボクのその、知り合いの女の子でして…」 わたしはコムラとミトリの手を、そっと離した。 まっすぐに主の眼を見る。 ミオは眼に力が表れると言っていた。 彼の切れ長の深緑色の眼は、とても美しかった。 人間を食べる神とは思えないほどに。 わたしは後頭部に手を回し、お面の紐をゆっくりと解いた。 「っ! りん、何を!」 コムラの驚きの声を聞いても、わたしは止めなかった。 そして―お面を取った。 「―はじめまして、山の主様。わたしの名前はトキワ…時環倫と言います」 ―人間? ―人間だ! ―人間がいるぞ! 周囲の神々が騒ぎ立てる。 しかしわたしと主は、正面から向かい合っているだけ。 「りっりん! 何てことを…!」 ミトリとコムラが慌てる。 前へ |次へ |
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