《MUMEI》
意外な結末
「あっあれ?」

「言われてみると…雰囲気とか、顔付きとか、りんと主って似てる…わね」

主はすたすたとわたしの前に歩いてきた。

そして手を上げ、わたしの頬を撫でる。

「時環…と名乗ったな? 永久村の娘か?」

「父方の祖父母が住んでいて…」

「先祖代々か?」

「ええ」

「ふむ…」

主は遠い眼をした。

「もう一つ、苗字はないか?」

「もう一つ?」

旧姓のことだろうか?

この場合、多分…祖母のことだろう。

「確か祖母の苗字が…津見家だったような…」

「津見家…。もしや先祖にお主と同じ、『りん』という娘はいなかったか!」

いきなりわたしの両肩を掴んで、主は眼を見開いた。

「えっええ。わたしの名前の読み方は、その人から貰ったものだって、父が…」

「まことかっ!」

「はっはい。祖母の実家は元々、神道系の神社の家系で、今は祖母の弟の者が実家を継いでいます」

なので権力者の家の者の祖父と、村では重要な役目を担う祖母は、生まれてすぐ婚約させられたらしい。

まあ今でも仲睦まじい夫婦だが…。

…ん? アレ? 今なんか、とても重要なことを思い出さなかった?

確か祖母の実家が祭っていたのは………山の神。

津見という苗字も、大山津見神―つまり古事記に出てくる山の神様から貰った苗字で…。

「…んん?」

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