《MUMEI》

…昔、祖母から聞いた話を思い出した。

その昔、農作物が天気が悪かったせいで、不作の年があった。

困った村人達は神社の神主の娘の一人を、山の神の遣いとした。

彼女は山に入り、山の神に不作のことを告げ、何とかしてもらうように申し出た。

山の神は一人で山に来て、自分に意見を言ってきた彼女を気に入り、妻にする代わりに、その申し出を受けた。

すると天気は回復し、農作物はたくさん取れるようになった。

その後、彼女は山を下りてきた。

その腕に、一人の赤ん坊を抱いて―。

「………」

「……………」

「もしかして…ご先祖様?」

わたしはかっくんと首を横に捻った。

「…恐らくな」

主も同じようにかっくんと首を縦に振った。

あっ…血の繋がりを感じる。

「えっ…」←コムラ

「…えっ?」←ミトリ

「あはは。とんだどんでん返しだね」←キムロ

―ええええええっ!? 
   ↑
わたし、主、キムロ以外全員。

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