《MUMEI》
最高の結末
「あっ、もう…疲れた」

翌朝、コムラは神社でダウン。

「わたしも気疲れしちゃった」

そんなコムラの隣に座っているわたしも、ため息をついた。

「―あの後、祖母に確認したんだけどね。津見鈴と言う女性が、山の主の子供を産んだんだって。でも彼女はその子を人間として育てたかったから、山を下りたって」

「うん…。ボクも山の主に聞いたよ。それでもその後、彼女は子供を連れてちょくちょく来ていたらしいけど…そのうち、訪ねて来なくなったみたい」

人間の寿命は限られている。

それでも山の主は、自分の子孫ならば訪ねてくれるだろうと思っていたんだろう。

けれど来なくて…やがて山の中の神社も忘れられていった。

だから山の主や神々達は…。

「…りんには苦しい思い、させちゃったね」

神社の中で寝転がっていたコムラは、わたしの手に触れた。

その冷たさが心地良くて、わたしは自分の頬に彼の手を当てた。

「ううん。知った方が良かったことだわ。…自分のすべきことも分かったし」

「すること?」

「うん。まずは…」

わたしはグッと拳を握り締めた。

「村の人にこの山の神社を知ってもらうこと!」

「ええっ!」

「だからキムロやミオ達に、イタズラしないように言わなきゃね」

「なっ何でっ…」

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