《MUMEI》 観客席。 ザワ… 「千葉たちには悪いけど…」 ザワ… 「?」 ザワ… 「ちょっと厳しい展開になりそぅな。」 ザワ… 「ん…だな…」 ザワ… 「予想以上にキーパーが堅い。 未來の速攻も止めるし、 その後の千葉のフリーのシュートも止めてた。」 ザワ… 「え…だ…ダメそうなんですか…?」 ザワ… 「え?理紗ちゃん海南ひいきだっけ?」 ザワ… 「あ…皆さん応援してるようなのでなんとなく…」 ザワ… 「ふーん…」 ザワ… 「理紗ちゃんには難しいかもしれないけどさ、 キーパー攻略は大きく分けて3つあると思うわけよ。 俺はね。」 ザワ… 「3つ…?」 ザワ… 「1つは奇策を投じること。 相手の意表を付くようなシュートを決めて相手の選択肢を広げる。 的が絞れない相手ってのは怖いからな。 まぁ… クロみたいなタイプだな。」 ザワ… 「どーも奇策くんです。」 ザワ… 「あはは!!」 ザワ… 「後は反応できないくらい速いシュート。 まぁこりゃ俺だわ。 スーパーエースだし。」 ザワ… 「死ね。」 ザワ… 「ふふ…」 ザワ… 「あとの1つ。」 ザワ… 「はい。何なんですか?」 ザワ… 「…わかってても止められないコントロール。 そこしかないってポイントに決められる選手はめったにいない。 3つの中で1番貴重な人材かもしれない。」 ザワ… 「へー... それは皆さんの中で言うと誰なんですか?」 ザワ… 「…」 ザワ… 理紗の質問に、 言葉の詰まるヤマト。 ザワ… 「ヤマトさん?」 ザワ… その沈黙を破ったのは… ザワ… 「翔太。」 ザワ… クロだった。 ザワ… 「え…」 ザワ… 「クロ…」 ザワ… 「古田翔太。 僕はあいつほど繊細なハンドリングができる選手を知らない。」 ザワ… 「翔ちゃん…」 ザワ… 「理紗ちゃんが見たのは猪狩とやった時だけだもんね。 あん時のあいつは手抜いてたけど、 マジのあいつは正直凄かった。」 ザワ… 「そうなんですか…」 ザワ… 「うん。 見せてあげたかったな… あいつのプレー。」 ザワ… 前へ |次へ |
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