《MUMEI》

聖龍ベンチ。



「ちょ選手名簿くれ!!」



走ってベンチに戻った桜井は急いで選手名簿を開く。



・古賀 久志 17歳 2年
(センター)
身長・174cm 体重・65kg



「2年ッ!?」



騒ぐ桜井。


ベンチはキョトンである。



「桜井時間ないッ!!」



広瀬が叫ぶ。



「あっ…わりわり。」



「っ…たく。」



呆れ顔の聖龍監督。


選手たちは既に円陣を組んでいた。



「…警戒はしてたがやっぱあのスカイは驚異らしいな。」



全員が揃ったところで話はじめる監督。



「…そう何本も決めさせないっすよ。」



「その辺は信頼してるさ。


けどな、


問題はもう1本決められたことなんだよ。


『次』は言い訳。


今のプレー少なからず油断があったからそれを許したんだろ。


違うか?」



「…」



「…勝ってはいるがどうも抜けてんな。


イマイチ決まんねーんだよ。


お前ら相手舐めてんのか?」



「いえ…」



「二ノ宮。」



「! はい。」



「特にお前だよ。


ここまで我慢して使って来たけどそろそろ俺も限界だ。


主将だからスタメンで使ってるわけじゃねーんだぞ?


何でシュートに行かねえ?」



「…」



「…下がるか?」



その一言に、


全員が息を飲む。


活躍していないとはいえ、


主将が抜けるという事態はやはり心細い。


それ程の立場に、


二ノ宮はいた。



「いえ…」



「!」



「もう大丈夫っす。


色々あって、


でも吹っ切れました。


この試合…」

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