《MUMEI》
つれない誠2
一ノ宮 次朗視点


どうして誠は、美しい僕と一緒に過ごす機会をいつも光栄だと思わないんだろう


スイスなんて、庶民は(多分)滅多に行けないのに


大自然とか、誠、絶対気に入りそうなのに


バ会長と違って、僕が誘うのは


僕の、別荘なのに


『僕のって、何ですか?』

『僕のは僕の。誕生日プレゼントに両親からもらったんだよ』


だから、遠慮する事無いのに


『けど、朗先輩が管理してるわけじゃない、ですよね?』

『それは、親、だけど』


僕、学生だし


『だったら、いいです。それに、俺の旅費だって、先輩方じゃなくて、先輩方の親が払うんだろうし。

だから、やめときます』


きっぱりと、誠は僕を拒絶した


僕だけじゃなく


同じ理由で、バ会長や鳳凰寺君


それに、神澤の提案も却下した


ただ、鳳凰寺君が提案した別荘は、学園と誠の地元の中間位にあるから


まだ、望みがありそうだった


悔しいけど、そこは理事長と鳳凰寺君の二人名義になってるし


鳳凰寺君は、別荘の管理も理事長と交代で行っているらしいから


誠も強く反論できなかったようだった

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