《MUMEI》
一緒に住まねぇ?
悠一から告白を受けてからの数日は、会ってもお互いにどぎまぎしていたが、それも時が経つにつれていつも通りに戻っていった。


この日も近くの草原…、あの二人が結ばれた草原で二人でごろんと寝そべっていた。心地よい風が吹き、彼らの髪を揺らしている。




「…なぁ、梨央」

「んー?なぁに?」

「お前さ、海とか好きか?」

「え?」




唐突な質問に梨央がきょとんとしていると、悠一は「だから、海!」と言った。




「あ、あぁ、うん。海は好きだよ」

「そっか。良かった」

「何で?」

「あ〜、あの、さ。梨央、俺と住まねぇ?」

「……はぁ!?」



梨央は自分の耳を疑った。
今、一緒に住むって言ったよな!?それは、え〜っとつまり、悠一と僕が一緒に住むって意味で、それって…所謂同棲!?




「えっ、ちょ、いきなり何言ってんだよ!!」

「…嫌か?」

「いや、嫌じゃないけども!ないけどもね!!何でそんな話になってんの!?」

「俺が梨央と一緒に住みたいから…。それに、梨央だっていつまでもここに閉じ込められてるの嫌だろ?」

「そりゃそうだけど…。お兄様達が許してくれないよ」

「大丈夫!俺が絶対に説得してやるから!」




悠一はぐっと親指を立てて笑顔でそう言った。





「…でも、本当にお兄様達は厳しいんだ。今まで男と会わせてもらったことなんて一度もないし。それに、もしダメだったらもう悠一と会えなくなるかも」

「絶対説得する!もしダメだったときは、お前攫ってくわ」

「何だよそれ」

「な?俺に任せろって!」

「ん〜…」




梨央は真剣に悩んだ。もしかしたら、本当に悠一に会えなくなるかもしれない。そんなの嫌だ。絶対に。

でも、それ以上に悠一とずっと一緒に居たいと思っている自分がいる。だから僕は、心を決めた。





「悠一」

「ん?」

「…任せた!!」





先程の悠一のように親指をつきたて、梨央は満面の笑みで悠一に託した。

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