《MUMEI》 話を戻して…梨央が心地良い気分に浸っていると、廉が控えめに話を再開した。 「それで、さっきの話なんだけど…」 「あ、そうだったな!ごめん。話を戻そう」 「悠一君と出ていくことを二人に説得するのは、おそらく難しいよ」 「だよなー…。僕、お兄様に嫌われてるし…」 「いや、それは間違ってるよ。二人ともただ梨央ちゃんを大切にし過ぎてるだけで」 「え?」 今までの記憶をたどってみても、兄二人が自分を好いているとは到底思えない。確かにこの別館にも足を運んでくれることはあるが、それは顔を見に来た程度のことで、話すらろくにしないのである。 そんな二人が僕を大切にしてる…? どうも梨央には納得がいかなかった。 「まぁ、二人の答えが何であるにしろ、悠一君と説得というか話に行ってみる価値はあるんじゃないかな?」 「そっか…。うん、そうだよな。まずは実行しなきゃだよな!」 「うん。それに、二人がどうして梨央ちゃんをこんなところに閉じ込めてるのかも分かるかもよ?」 廉はいたずらっ子のような笑顔を向けて、部屋を出て行った。 前へ |次へ |
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