《MUMEI》

しかし、


ここまでの試合経過の中で二ノ宮は確信した。



『こいつらは強い』



と。


それはチームメイトに当てられた思い。


だが、


今自分たちの目の前に立ちはだかった敵。


海南高校。


やはりこれまでの相手とは違い、


味方ばかりに任せている状況ではないことを彼は悟っていた。


練習試合という状況なのであれば、


これまで同様周りに経験を積ませる為の姿勢で臨むこともできた。


実際、


秀皇大学という核上のチームとの試合時にも彼はそういった姿勢で試合に臨んでいた。


しかし、


これは高総体。


負けた先には何もない。


二ノ宮本意気のプレー。


ここからそれが始まることを予想した者はいない。


千葉雅也。


海南高校エースの彼のプレーが、


二ノ宮の殻を破り、


そしてそれは、













……………













「ビーッ!!」













……………













タイムアウト明けのワンプレー目から、


いきなり牙を剥くこととなる。

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