《MUMEI》

とはいえそれは



『コート上の海南高校の選手の中では』



という物。


ベンチに座る海南高校監督。


観客席のクロたちには聖龍高校の狙いは一目瞭然。


それ程までに露骨なフォーメーションを取っている聖龍。


普通に考えてこれにメリットはない。


そう。


聖龍高校の選手たちでさえこの作戦にメリットなどないことを理解していた。


作戦のバレる露骨なフォーメーション。


それを指示したのは司令塔の桜井。


これは自分たちへのメリットを考えた物ではなく、



(…行くぞ。)



宣戦布告。


止められる物なら止めてみろという、


負けることなど全く考えていない上に立つ者から挑戦者への試練。


しかし、


他の選手たちは桜井のそんな意図を理解することができず、


巧妙に作戦を隠そうとしていた。


意思の疎通が上手くいかないことが、


結果的に海南の選手たちを撹乱していた。













……………













観客席。


ザワザワ…


「来るぞ…二ノ宮だ…」


ザワザワ…


「あんな後ろで位置取りしてるってことは…」


ザワザワ…


「突撃の勢いをつける為だろうね。」


ザワザワ…


「さて…全国レベル。
見してもらお〜じゃね〜の。」


ザワザワ…

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