《MUMEI》 純粋なキスアタシは毎朝、アイツの寝顔を見て、思う。 「一人占め、したいなぁ…」 消え入りそうな声で呟く。 だってベッドでスヤスヤ寝ているのは、まさに天使の寝顔をしている男の子なんだもん。 高校生になっても、その純粋さは失われず…。 …アタシの方が穢れているようで、少し心が痛む。 幼馴染の男の子は、知能に障害を持つ。 いつまでも子供っぽい態度と口調。 感情を上手くコントロールすることができず、癇癪を起こすことはたびたびある。 そのたびに、アタシが制御役になっている。 元々家が隣同士というのもあるけど、コイツは血の繋がったイトコでもあるから。 でもイトコは感情をコントロールする術を、身に付けはじめていた。 それは美術。 絵画に彫刻、彼の手はさまざまな芸術品を作り出す魔法の手。 すでに世間はコイツに注目し始めている。 脳に障害を持つコが、芸術方面に優れている例は結構あるけど…可愛い顔しているからな、コイツ。 身長は高いクセに、態度は子供なもんだから、人気も出はじめている。 アタシがお役ゴメンになる日も…そう遠くないだろうな。 「んっんんっ…」 アタシが買ってやったウサギの大きなヌイグルミを強く抱き締めながら、寝返りをうつ。 はぁ…。いつまでもこの寝顔を見ていたい気もするけど、遅刻はいけないことだと教えている。 目覚ましは…壁に直撃して、無残な姿。 あれほど物を壊すなと言っているのに! ムカッときて、アイツの上に覆いかぶさった。 次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |