《MUMEI》 小学生の頃までは、着替えを手伝っていた。 さすがに中学生になると、それなりに意識し始めたのか、アイツの方から断ってきた。 この家はアイツの両親がアトリエ用に建てたもの。 廊下を通じて、実家がある。 アトリエ用の家は、アイツの寝室と作業場、トイレに風呂とキッチン付き。 アイツが芸術に打ち込めるようにと、お金持ちの両親が作った。 アイツは喜んで芸術にのめり込んだけど…実家に戻らなくなった。 それを心配したご両親が、アタシに面倒を見てくれないかと頼んできた。 古い付き合いだし、何よりアイツは基本的にはアタシの言うことしか素直に聞かないから。 お駄賃と言う名の高いお給料を貰っているし、面倒は見るけどさ。 …いつまでやり続けていられるんだろう? 「んっ…。きがえて、きた」 目をこすりながら、台所に入ってきた。 「はい、どうぞ。召し上がれ」 朝っぱらからパンケーキとホットミルク。 …甘ったるいなぁ。 しかしアイツはニコニコしながら、パンケーキにアタシの手作りのイチゴジャムと生クリームをたっぷりかけている。 ホットミルクにもハチミツを…。 「うっぷ…」 焼ける胸を押さえて、アタシはトーストにかじりついた。 ちなみにアタシは野菜サラダにトースト、そしてコーヒーだ。 「こーひー、にがくない?」 「慣れれば平気。飲まなきゃ目が覚めないし」 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |